予防歯科
予防歯科をご存知でしょうか。残念なことに日本は先進諸国の中では歯に対する意識が低く、予防歯科の概念の浸透が不十分です。歯が痛くなってから歯科医院に行くのではなく、痛くなる前に受診する。定期的にメインテナンスを受ける。毎日のセルフケアを怠らないなど、積極的に歯を守っていく姿勢が予防歯科の特徴です。むし歯になったり歯を失ったりすると生活の質が低下してしまい、また治療に時間と経費がかかるため、それを防ごうという考えから生まれました。
最近では生涯にわたり自分の歯を20本(歯)キープすることは、食べ物を噛む役割だけではなく心身共に健康に過ごせるポイントになっていることがわかってきました。歯が残っている人の方が、歯のない人よりも元気で病気になりにくいというデータが出ています。8020(ハチマル・ニイマル)運動という言葉を聞いたことがあるかもしれません。80歳まで、20本(歯)を保とうという運動が推進されているのです。
予防歯科で行うこと
予防歯科の中心は定期健診とセルフケアです。フッ化物塗布や口腔内診査、歯垢や歯石の除去(PMTC)、歯磨き指導などを行います。セルフケアだけでは、歯垢や歯石を完全に取り除くことができません。ちゃんと磨いたつもりでも、思わぬ磨き残しがあるのです。そのため定期的に歯科医院でクリーニングを受けましょう。自宅でのセルフケアのポイントとしては、力を入れすぎて磨かないこと、すすぎの際にうがいをしすぎてフッ素を落としてしまわないこと、歯茎や口に合った歯ブラシを選ぶとともにデンタルフロスや歯間ブラシを活用して歯垢をしっかり落とすことが大切です。歯科医院にて正しく指導してもらいましょう。
小児の予防歯科
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中は、無菌状態でむし歯菌はいないと言われています。子どもは、むし歯菌を持っている大人とのキスや食器の共有を通して、むし歯菌に感染してしまうのです。むし歯菌に感染しやすい時期は、乳歯がどんどん生えてくる生後1歳7ヵ月~2歳7ヵ月の間です。予防策としましては、この感染しやすい時期に、お子様と同じ箸やスプーンを共有しない、離乳食の際に咬み与えをしないなど、お口のスキンシップを控えることです。そうすることで成長した時のむし歯の本数を少なくすることができるのです。
また、むし歯菌をうつさない配慮と同時に、日頃の歯ブラシ習慣も大切になってきます。小さい時は一緒に歯磨きを行うとともに、ちゃんと磨けているか確認と仕上げ磨きをしてあげましょう。また、歯科医院で定期検診やフッ化物塗布、ブラッシング指導を受けるのもオススメです。さらに、歯磨きを頑張っていてもお菓子を食べすぎてしまってはむし歯になってしまいます。むし歯は、むし歯の原因菌が砂糖を分解するときに生成される酸によって歯が溶かされてしまう病気です。普段から規則正しい食生活を心がけ、特に間食に注意するようにしましょう。
妊産婦の予防歯科
妊産婦の予防歯科をご存知ですか?お母さんに出産前後の歯の健康についての知識を身に着けてもらうことで、出産のリスクを減らし、赤ちゃんのむし歯を予防し、お口の健康を守ることを主眼に置いています。妊娠中に気をつけたいことの一つとしてお口のケアがあります。近年、妊娠中の歯周病(妊娠性歯肉炎)は、早産および低体重児出産へのリスクが高まることがわかってきました。これらは妊娠中に増加する、女性ホルモンのエストロゲンが大きく関わっているといわれています。お口の中が、歯茎の炎症を起こしやすい環境になり、歯周病が非常に進行しやすい状況が整ってしまうのです。 妊娠中は唾液の量が減ることも後押ししています。妊娠中期から後期にかけて女性ホルモンが増加するため、さらにリスクが高まります。出産とともに元には戻りますが、清潔な状態を保つことで炎症を抑えることができますので、プラークコントロールを心がけてください。歯周病は予防可能な疾患ですので、赤ちゃんのために確実な歯周病予防を行いましょう。
また、もともと赤ちゃんのお口の中にはむし歯菌や歯周病菌はいません。それなのに成長してむし歯や歯周病になるのは、口移しやスキンシップによってお母さんや家族の細菌が感染するためです。また妊娠すると、つわりによって歯磨きがしにくくなりむし歯になるリスクが高まります。妊産婦の予防歯科では、そうした知識を知ってもらい、必要であれば出産前にむし歯や歯周病の治療をするともに、生まれてくるお子様のお口のケアのポイントなどをお伝えし、正しい生活習慣が身につくようにお手伝いをさせていただきます。